野菜炒め(撮影/写真部・片山菜緒子)
野菜炒め(撮影/写真部・片山菜緒子)

 野菜の水分にまみれたベチャベチャの野菜炒めにならないようにするには、どうしたらいいのだろう。旬の夏野菜をおいしい炒め物に変身させるにはどんな方法が? いつもの食材もちょっとの工夫で夏バテ知らずの一品に。料理研究家のテクニックを紹介する。

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 暑い夏。だけど食べたい野菜炒め。いったいどうすれば水っぽくない、シャキシャキッとした「美味な野菜炒め」を家で作ることができるのだろう。その極意を教えてくれたのは「料理は科学」を提唱する料理研究家の水島弘史さんだ。

「おいしく仕上がらない野菜炒めには、二つの原因があります。まず、切った野菜の断面の細胞がつぶれてしまっていることが考えられます。細胞がつぶれていると、中から水分が出やすくなります。またそこに強い熱が加わると、さらに細胞が壊れて、野菜はクタクタになり、おいしくなくなってしまうのです」

 では、細胞をつぶさないように野菜を切るには、どうすれば?

「包丁を絶対に力で使わないことです。どんなに安い包丁でもかまいません。ただ力で押しつぶすように野菜を切らないことです。正しい姿勢と正しい持ち方で正しく切れば、かぼちゃだって実は簡単に切れるものなのですから」

 もう一点は、何を改善すればいいのだろう。

「火加減です。野菜炒めというと強火で短時間で作るイメージがあるかもしれませんが、普通のフライパンでそれをやれば水っぽくなったり野菜が焦げたりします。一番いいのは、ゆっくり温度を上げることです」

 それはなぜ?

「野菜というものはゆっくり温度が上がっていくと、自分を防衛しようと反応します。そうすると野菜の細胞壁が壊れにくい状態になり、野菜がシャキッとするのです。中まで火を通すのにそんなに強い熱も必要ありません。野菜炒めは『弱火調理』でいいのです。低温調理と混同しないでくださいね。弱火でも1分もすれば、100度を超える温度になるんですよ」

 肉は最初に炒めて、油に肉の臭みを移す。またにんじんは茹でてやわらかくしておく。そしてあとは手順のとおりに弱火で調理するだけで、極上の野菜炒めが完成!

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