「鹿の脳みそも食べた」 人気漫画『ゴールデンカムイ』の作者のこだわりとは (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「鹿の脳みそも食べた」 人気漫画『ゴールデンカムイ』の作者のこだわりとは

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岩下明日香週刊朝日

野田サトルさん自画像。野田さんは「顔出しNG」だという (c)野田サトル/集英社

野田サトルさん自画像。野田さんは「顔出しNG」だという (c)野田サトル/集英社

千葉大学・中川裕教授

千葉大学・中川裕教授

アシリパが初めて味噌を食べたシーン。 (c)野田サトル/集英社

アシリパが初めて味噌を食べたシーン。 (c)野田サトル/集英社

野田さんが取材で収集したアイヌ民族の道具。手塚治虫文化賞の贈呈式の会場で展示された(撮影・多田敏男)

野田さんが取材で収集したアイヌ民族の道具。手塚治虫文化賞の贈呈式の会場で展示された(撮影・多田敏男)

 第22回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が6月7日にあった。マンガ大賞に選ばれた『ゴールデンカムイ』(集英社)は、日露戦争後の北海道を舞台にし、アイヌ民族が登場する冒険マンガだ。

【アシリパが初めて味噌を食べたシーンはこちら】

 贈呈式後は、作者の野田サトルさんとアイヌ語を監修した千葉大学の中川裕教授が、受賞記念の対談をした。進行は週刊ヤングジャンプ編集部の担当編集者の大熊八甲さん。対談ではアイヌ文化の魅力などが語られ、大人気作の創作秘話も飛び出した。主なやりとりは以下の通り。

*  *  *
中川 賞を取るのは、当たり前だとずっと思っていました。ストーリー展開の巧みさ、効果的に演出する力、ちゃんと表現する画力の三つがそろった作品だと思います。私のようにアイヌ文化やアイヌ語の振興と復興に関わっている身からすると、アイヌ民族と文化にスポットライトを当てたという点で非常にインパクトがある。

 最近、週刊朝日(6月15日号)でも巻頭グラビアでアイヌ文化を特集している。今までアイヌ文化について、ほとんど関心を示さなかったマスコミが取り上げている。この状況を作り上げたのは、ゴールデンカムイであることに間違いはない。その状況の原動力になっているのは「アシリパ」(「リ」は小文字が正式表記)という名前の魅力的なヒロインなんですね。

 最初に、著者の野田さんと編集担当の大熊さんから、第1話の原稿を見せてもらった時には、まだ「アシリパ」という名前ではなかった。野田さんが考えていた名前はやめてもらって、その後、いくつか名前を考えてきてくれた中からアシリパという名前がいいんじゃないかと、提案したのです。アシリパは野田さんが考えたのですが、どこからその名前を持ってきたのですか。

野田 いくつか候補をあげて、中川先生に見てもらいました。まず、ひとつは「シノッチャ」。

中川 アイヌ語で唄を歌うという意味ですね。みんなで楽しむ時に唄を歌うことをシノッチャといいます。

野田 ほかにも「アシルパ」っていう名前を中川先生のところへ持って行った。それが中川先生に、イメージが合っていると言われて、「アシリパ」に決まっていった。

中川 その名前の案はどこから来たんですか。

野田 忘れちゃいました(笑)。「ステノ」というのもありました。ステノさんは実在する人物で、明治生まれの女性なんですけれども、7歳くらいの時に和人のところへ使いに行ったことがあるようなんです。そして、持って帰ってきたのが味噌(みそ)だったんです。それを見て「あ、うんこだ!」と言って、かたくなに食べなかったとうエピソードがあったんです。それを、アシリパにも当てはめた(作品でもユーモラスなエピソードとして登場する)。明治時代生まれのアイヌの人には入れ墨があるんです。入れ墨は、はりで刺すのではなくて、放射状に傷を入れてくんですよね。


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