田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
麻生舌禍、柳瀬虚偽でも安倍支持率が下がらない理由(※写真はイメージ)
麻生舌禍、柳瀬虚偽でも安倍支持率が下がらない理由(※写真はイメージ)

 柳瀬唯夫元首相秘書官の国会招致、麻生財務相のセクハラ問題発言などに揺れた安倍政権。ジャーナリストの田原総一朗氏は、そうした問題が続出しても支持率が下がらない背景を語る。

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 前回、私は5月10日の衆参両院の予算委員会に参考人として出席した柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁について、国民の誰もが虚言だと捉えているのではないか、と書いた。中村時広愛媛県知事の怒りの抗議が、ますますその思いを強くさせ、柳瀬氏批判が高まっているが、私はむしろ柳瀬氏に同情している、とも書いた。彼はひたすら安倍首相を守るために、虚言を繰り返していたからである。

 その批判について安倍首相は、柳瀬氏は正直に語っていると全面的に認め、彼が首相に報告しないのは当然で、途中段階でそのような説明を受けることはほとんどない、と言い切った。獣医学部新設を政府に申請している加計学園の願いを聞くことを“そんなヒマはない”と言い切る安倍首相の言葉が事実だとすれば、安倍首相の判断力は相当おかしくなっているのではないか。

 さらに森友学園疑惑だが、財務省が国有地売却についての決裁文書改ざんを認めたとき、私は当然、麻生財務相は責任を取って辞任するものと思っていた。自民党の何人かの幹部たちに確かめたが、誰もがそう思うと答えた。

 ところが、麻生財務相は辞任しなかった。それどころか、最近「文書改ざんは一部の人間が勝手にやったことだ。こういうことはよくある話である。だから、組織としての財務省はまったく責任がない」という、理解しがたい発言をした。とんでもない発言だ。それだけではない。麻生財務相はこのところ、福田淳一前事務次官のセクハラ問題でも、わざわざ国民の反発を呼ぶような発言を繰り返している。こんな失言を繰り返している麻生財務相を、なぜ安倍首相は擁護し続けているのか。

 とにかく、安倍内閣では国民の不信を買う問題が続出している。

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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