安倍昭恵氏=代表撮影
安倍昭恵氏=代表撮影

 佐川宣寿前国税庁長官の証言拒否で国会の証人喚問を無事に乗り切ったかのように見えた安倍政権。だが、内実は官邸、財務省とも大阪地検特捜部の捜査に怯える日々という。そんな中、安倍晋三首相の出身派閥からついに「3選の最大のリスクは昭恵夫人」という声が上がった。

 その狼煙(のろし)は自民党本部で3月29日、行われた最大派閥・細田派(94人)の会合で上がった。

 口火を切ったのは、西田昌司参院国対委員長代行だ。

 出席者によると西田氏は、佐川前国税庁長官の証人喚問で首相夫妻の関与がないことが明らかになったと前置きした上で、「(秋の総裁選で)3選を首相が目指す中、昭恵夫人の問題は最大のリスク」「国民は位の高い方(首相夫人)の振る舞いとしていかがなものかと思っている」などと述べたのだ。

 その瞬間、ひな壇に座る細田博之会長、下村博文・事務総長ら幹部の表情は硬直し、出席した議員らは一斉に下を向き、誰も一言も発さず、会場内はしばらくシーンと静まり返った。

 助け舟を出すように首相側近の萩生田光一党幹事長代行が手を挙げ、党務報告をしたため、昭恵氏の問題が再び、議論されることはなかった。しかし、出席した細田派関係者によると、会合が終わった後、エレベーターの中などでザワついたという。

「これ以上、首相の求心力が落ちれば、他派閥が石破(茂)さん、岸田(文雄)さんを担ぐ」

「国会で幕引きにしても、大阪地検の捜査でまたボロが出るのではないか」

「来年の統一地方選、参院選でも森友疑惑を言われ続ける」

 党内も官邸の「幕引き」ムードに釘をさしている。

 小泉進次郎党筆頭副幹事長は昭恵氏の証人喚問の必要性を問われ、「まあ、みんなね、思うところはありますよね」(3月24日)と意味深な発言をし、こんな悩みも吐露した。

「私が言うことはニュース性もないのに、例えば、『官僚の皆さんに責任を押し付けるような自民党ではいけない』は当たり前ですよね。それがニュースになることが悩み」(同27日)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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