慶応大学のキャンパス(c)朝日新聞社
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【グラフ1】早大と慶大の都道府県別合格者数(2017年)
【グラフ1】早大と慶大の都道府県別合格者数(2017年)
【グラフ2】慶大志向の強い県と早大志向の強い県(2017年)
【グラフ2】慶大志向の強い県と早大志向の強い県(2017年)

 早稲田大と慶応義塾大の合格発表が終わった。ともに私大の雄として全国的に有名だが、両大学への受験の志向は都道府県によって差がある。昨年の合格実績からみると、慶大志向の強い地は兵庫、早大志向の強い地は埼玉。その理由は?

【図表でみる】早大と慶大の都道府県別合格者数

 早慶の昨年の合格者数は、慶大約9千人、早大約1万6千人と早大が慶大の約1・8倍。出身高校の都道府県別にみると、早慶ともに東京が約4割になる。神奈川、千葉、埼玉を含めた関東の4都県だけで7割超の構成は似ている(グラフ1)。

 早慶の合格者を合わせると、のべ計約2万5千人で、慶大36%、早大64%の構成になる。都道府県別の早慶比率をこの全国の値と比べ、慶大の比率が高ければ慶大志向が強く、逆は早大志向が強いと考えられる。慶大志向が強いのは兵庫、早大志向が強いのは埼玉だった(グラフ2)。

 早・慶の合格者が各7人と少ない県(島根)もある。そこで、グラフ2は、早慶に計150人以上合格した19都道府県で比べている。兵庫の合格者は慶大185人、早大247人で計432人。慶大43%、早大57%の比率で、全国と比べて慶応が多い。兵庫に続いて奈良や京都と、慶応志向の強い地は関西が多いのはなぜか。

 兵庫のトップ校の私立灘は、昨年の慶大合格者27人、早大22人。全国の傾向とは逆に、慶大が多い。同じく兵庫の私立甲陽学院も慶大20人、早大17人と慶大が多い。

 関西の受験生にとって早慶の大きな違いの一つは、慶応の強力なOB組織「三田会」の存在に加え、医学部の有無だろう。灘は関西で東大合格者が最も多い高校、甲陽は2番目で、慶大医学部は東大医学部の併願先だ。薬学部や理工学部を含め、慶大は関西の理系受験生にとって早大より志望先となりやすい。慶大医学部には昨年、奈良の私立東大寺学園、京都の私立洛南からも複数合格した。

 医学部に注目すると、福岡の慶大志向の強さもうなずける。進学校の私立久留米大附設は昨年、慶大に28人、早大に17人合格。慶大28人のうち、4人が医学部だった。

 福岡、静岡の次は、東京と神奈川が続く。慶大のおひざ元の高校は、やはり慶応志向が強いようだ。

 早稲田志向が強いのは、埼玉。早大の所沢キャンパス(所沢市)や本庄キャンパス(本庄市)があり、慶大よりも身近な存在だ。県立浦和は昨年、早大に158人、慶大に81人合格。早大が慶大の約2倍だった。私立栄東も早大165人、慶大89人と同様な傾向だった。

 次に早大志向が強いのは千葉。日吉キャンパス(横浜市)のある慶大と比べ、早大の方が通いやすいことも一因だろう。千葉で昨年の早大合格者が最も多かったのは、私立渋谷教育学園幕張で193人。私立市川148人、県立千葉138人と続く。長野や北関東の各県も、早大の方が慶大よりも身近なようだ。

 2018年の早慶の大学受験は志願者数でみると、早大が3年連続増、慶大が4年ぶり減と明暗が分かれた。週刊朝日は3月30日号(3月19日発売)で、早慶の今年の合格高校の最新ランキングを、合格者1人の学校まで掲載している。(本誌・中川透)

※週刊朝日オンライン限定記事