ドヤ感あるセリフが多い? 広瀬すず主演「anone」のドラマ批評 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ドヤ感あるセリフが多い? 広瀬すず主演「anone」のドラマ批評

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週刊朝日

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

(c)カトリーヌあやこ

(c)カトリーヌあやこ

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「anone[あのね]」(日本テレビ系 水曜22:00~)をウォッチした。

【写真】イラストはこちら

*  *  *
 日テレで坂元裕二脚本といえば世に芦田愛菜を知らしめたドラマ「Mother」。そして芦田愛菜といえば「あのね、芦田愛菜だよっ」。ゆえに本作のタイトルは「anone」。

 て、芦田愛菜出てねぇし。「あのね」は、やしろ優だし、いろいろ違う。主要人物の一人、かつて印刷所を経営していた女性の名前が「亜乃音」(田中裕子)なのだ。ひょんなことから知り合い、今は亜乃音の家に居候する3人。不治の病を患う少年の治療費のため、日々アルバイトをする少女ハリカ(広瀬すず)、死に場所を探していた女、るい子(小林聡美)、余命半年と宣告された男、持本(阿部サダヲ)。そんな彼らが偽札を作るはめになる。

「この世界には本物のふりをした偽物が混じってる」

というセリフのように、この物語には、「偽」がちりばめられている。食卓を囲むように偽札を作る4人は、まるで偽の家族。

 偽の親子、偽の夫婦、偽の名前。童話のように幸せだった幼い頃の少女の思い出は、偽の記憶。偽の中から「ホント」をすくい出すような物語。

 警句ってあるでしょう。「短い中に物事の真理や奇抜な考えを含ませた言葉」というやつ。坂元作品を見ていつも思うのは、セリフが警句っぽいこと。

「世の中なんて、どっかの誰かがつい倒しちゃうドミノ倒しで出来てるんです」とか、「人は手に入ったものじゃなく、手に入らないもので出来ている」とか。

ただちにSNSで「いいね!」を連打されそうな。何万リツイートでツイッターを回ってきそうな。

「人は我慢できないほど悲しくなると、怒ったふりをして悲しみを消すんだ」

 もうね、こんなに「人」や「世の中」について語りたがる人たちいない。つーか、人生でただの一度も口に出して言ったことないセリフの目白押し。言った瞬間、つい顔が「どやぁ!」になること間違いなし。そんな中で、私が一番好きなセリフはこれだ。

「この人は悪い人じゃなくて、頭の悪い人です」

 ねー。この世に「ねー」ボタンがあったら、今すり減るほど連打した。ドラマの中のとても物悲しい悪人に投げかけられたこのセリフ。「悪人」をすべて「頭の悪い人」に変換したら、人の心はもっと広くなるかしら。SNS界で発生する炎上事案も減るかしら。

週刊朝日 2018年3月23日号


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