「改ざん疑惑」が浮上した財務省文書(左)と安倍首相、麻生財務相 (c)朝日新聞社
「改ざん疑惑」が浮上した財務省文書(左)と安倍首相、麻生財務相 (c)朝日新聞社
3月2日、立憲民主党の辻元清美国対委員長(右)らに詰め寄られ、「調査中」を連発した財務省官僚ら(左)(撮影/横田一)
3月2日、立憲民主党の辻元清美国対委員長(右)らに詰め寄られ、「調査中」を連発した財務省官僚ら(左)(撮影/横田一)

 森友学園への国有地激安売却問題で新たな疑惑が浮上し、安倍政権に激震が走った。財務省が学園との契約に関する決裁文書を書き換えて国会に提出した疑いが、3月2日付の朝日新聞などで報じられたのだ。

【写真】辻元清美国対委員長らに詰め寄られ「調査中」を連発した財務省官僚ら

「この報道が事実であれば、財務省は国会議員に捏造した資料を渡したことになり、大問題。安倍政権を守るために隠蔽したということであれば、財務省の担当者が処分されるだけの話では済まず、内閣総辞職につながるような話」(立憲民主党の辻元清美国対委員長)

 朝日新聞によれば、2015~16年に財務省近畿財務局が学園と土地取引をした際に作った文書と、問題の表面化後に国会議員に開示した文書の一部が異なり、当時の文書にある「特例的な内容となる」「価格提示を行う」などの文言が開示文書からは消えていたという。財務省は佐川宣寿国税庁長官(当時の財務省理財局長)らの国会答弁で同学園との価格交渉を一貫して否定していた。

 国会で事実関係を問われた麻生太郎副総理兼財務相は「差し控えさせていただく」と逃げの一手。

 立民、民進党、希望の党ら野党が2日午後、合同で開いたヒアリングに財務省官僚を呼ぶと大荒れになった。希望の階猛衆院議員はこう迫った。

「(報道が)事実なら虚偽有印公文書作成罪になり、実際にそれを国会に提出したのだから、同行使罪にも当たり、懲役10年の嫌疑がかけられる。そんな記事が出たら朝一番で事実か否かを確定させ、(誤報なら)朝日を訴えないと組織として成り立たないでしょう」

 しかし、財務官僚は「私が確認できているのは、『調査をします』ということでございます」を連発。その疑惑について霞が関官僚は驚きを隠さなかった。

「公文書管理法で行政機関の意思決定の過程などを公文書に書き残すことが義務づけられている。文書を訂正、書き換える必要が出た場合、その経緯は訂正に印鑑を押すなどキチンと過程を残さなければならず、改ざんはあり得ない話だ」

 財務省は6日までに何らかの調査報告をすると表明したが、裁量労働制拡大の断念に続き、安倍政権はやっかいな火種を抱えることになった。(横田一)

週刊朝日 2018年3月16日号