「私の詩は、“愛と死が大きなテーマだよね”と言われることもあるのですが、自分ではそんな感覚は全くなくて。こういうメッセージを詩に込めよう、とかそういうことは考えません。そうすると予定調和の言葉になって面白くない。だからポンと自然に出た言葉を信じて書くようにしています。そのため、後から自分で読んでみてなぜその言葉が出たのか、分からないことも多いです」

 顔出しと年齢は「非公表」。あくまで勝負は文章。それ以外の部分で、読み手に余計な印象をつけたくないというのが理由だ。

 昨年のクリスマスには、ルミネからの依頼で、初の広告にもチャレンジ。東京の街に、最果さんの詩が広がった。

「本と向き合うだけじゃなくて、例えば街角で、テレビやラジオで、ファッション誌の一コマでなど、ふとした時にふとした場所で、詩に出会う機会が作れたらいいなと思います。不意打ちで出会った言葉は、きっとその人の日常に自然と溶け込んでいくことができるから。2018年も、新しいことにどんどんチャレンジしたいです」(本誌・松岡かすみ)

※週刊朝日  2018年1月19日号より加筆

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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