「表現の自由についての議論もありますが、もともとコンビニに置かれる成人誌は、たとえば表紙に下着を見せてはダメなどの規制も会社ごとにあり、書店で流通するものと異なるものが置かれることも多かったんです。それが進んで、いつかこんな日がくるのかなとは思っていました」
コンビニ売り上げが大きな比率となる出版社も少なくない。「読者の方も心配」と姫乃さんは言う。
「私が働いていた雑誌の読者の方には70代もいた。通販や動画などでネットを使わない人も多い。そういった読者がどうするのか」
本誌で「小泉信一の裏昭和史探検」を連載中の小泉信一朝日新聞編集委員はこう解説する。
「最近は街の中でもいかがわしそうな看板や広告を見なくなりました。たぶん、この動きはもっと加速すると思いますね。店舗側としては、そのスペースを使って別のものを売りたいという思いもあるのではないでしょうか」
姫乃さんも小泉編集委員も、成人誌で見られるような内容は、ますますネットに移行していくが、やっぱり紙の媒体で見たいという層は確実にいると口をそろえる。
「私は土手の草むらの中に落ちていた、色あせた成人誌をドキドキしながら見る少年時代を過ごした世代です。かつての成人誌は読者を引きつける創意工夫に満ち満ちていました。そんな時代はもう二度と来ないでしょう」(小泉編集委員)
(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2017年12月15日号