「麺をすする音が不快なのはとても悲しいことです」と日清の担当者(※写真はイメージ)
「麺をすする音が不快なのはとても悲しいことです」と日清の担当者(※写真はイメージ)
日清食品が考案したフォーク「音彦」
日清食品が考案したフォーク「音彦」

 女性用トイレでおなじみになった、TOTOの擬音装置「音姫」。「トイレでの音を聞かれたくない」。そんな日本人女性のはじらい文化から生まれた品だ。

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 音姫をヒントに、日清食品が珍妙な新製品を出そうとしている。その名も「音彦」。麺をすする際の「ズ、ズーッ」という音を打ち消す、ハイテクフォークだ。

 すする音は外国人が不快に思うこともあり、「ヌードルハラスメント」と呼ばれる。「食べる音で迷惑をかけたくない」。そんな日本人ならではの細やかな思いにこたえる品なのか。

「麺をすする音が不快なのはとても悲しいことです」と日清の担当者。フォークについた高性能集音マイクがすすり音を感知し、スマホに信号を送信。スマホから「ザ、ザーッ」と、音が出るしくみだ。

 開発にあたり、すすり音を分析、同種の音をかぶせて不快な音を愉快に変えることを考えた。「メロディー音なども試したが、ダサい感じ。恥ずかしさが少なく、飽きずに楽しめる音にした。これで、外国人がいる場でも豪快に麺をすすってほしい」と担当者。

 製品を発表すると、欧米の主要オンラインメディアが取り上げた。「反響が想像以上で驚いた」という。

 記者はデモ機に触れた。握ると、電動歯ブラシのような重厚感。持ち手は直径4.4センチの筒状で、全長約15センチ、重さ110グラム。正直食べづらそう。部品の影響で、どうしても大きくなるそうだ。持つところだけでも、手になじむように細くしている。

 価格は1万4800円(税込み)。10月23日から予約を受け付け、12月15日までに5千個の予約が集まれば販売する。10月27日現在200個弱で、「ペースが遅い。販売が難しいかも」と担当者。

 予約集めに失敗して発売がのびぬよう、祈りたい。(本誌・吉﨑洋夫)

週刊朝日  2017年11月10日号