ほら見てみ? 小池さんが率いる希望の党に、民進党が食われてしまった。

 小池さんは党の性質を『寛容な保守』といっているが、ぜんぜん寛容じゃないでやんの。民進党の人間を全員受け入れるつもりはさらさらないんだって。リベラル派は排除だって。

 ま、歴史修正主義、極右の中山夫妻がこの党に加わると知ったとき、安倍さん以上なのだこの党は、と思った。

 そういうことを、テレビを観ているどれだけの国民がわかっているのか? テレビだけ観ていると、今までのオッサン政治から脱却し、この国のトップが女性になるのは、良いことのような気がしてしまう。しかし、小池百合子さんの強さは、あたしから見ると、男の強さなんだと思う。

 大きな鉈のように、バッサバッサと邪魔なものを切っていく。邪魔者は情け容赦なく排除し、つねに自分が上を目指そうとする強さだ。

 あたしが熱望する、トップになって欲しい女性像とは違っている。

 あたしが熱望する女性のトップ像とは、この国の母となれるような人。誰とでも横繋がりで仲良く出来、包み込むみたいな温かい愛情を持った人。そして、踏まれても踏まれても、雑草みたいに強く、信念を曲げない人。

 安倍さんと小池さん、派手な、凄まじい戦いになってきた。もちろん、あたしはどっちの応援もする気はない。いっそ、2人とも倒れてしまえ。

週刊朝日 2017年10月20日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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