京夕け 善哉京都市中京区室町通夷川上ル鏡屋町44-3/営業・平日11:30~13:00L.O.(完全予約制)、17:00~20:00L.O./休日・水(撮影/楠本涼)
京夕け 善哉
京都市中京区室町通夷川上ル鏡屋町44-3/営業・平日11:30~13:00L.O.(完全予約制)、17:00~20:00L.O./休日・水(撮影/楠本涼)
鯛めし夜は7000円、1万円、1万3000円のコース(税サ別、要予約)があり、旬のものを中心に、先付け、前菜、お椀、お造り、焼きもの、蒸しものなど、およそ10品がおまかせで楽しめる。土鍋で炊きあげる鯛めしは1万円のコースからで、季節のご飯に代わることも(撮影/楠本涼)
鯛めし
夜は7000円、1万円、1万3000円のコース(税サ別、要予約)があり、旬のものを中心に、先付け、前菜、お椀、お造り、焼きもの、蒸しものなど、およそ10品がおまかせで楽しめる。土鍋で炊きあげる鯛めしは1万円のコースからで、季節のご飯に代わることも(撮影/楠本涼)

 著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、歌人で細胞生物学者の永田和宏さんが選んだのは京夕け 善哉(よきかな)の「鯛めし」だ。

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 初めて訪れたのは、もう7、8年も前でしょうか。山中伸弥教授に連れて行ってもらいました。京都大学に勤めていたころ研究室が隣同士で、仲が良かったんです。以来、隠れ家のような佇まいと、居心地のよさが気に入って、通うようになりました。掘りごたつの個室もあるので、大切なお客さんが来たときなどには、必ずこの店を予約する。年に10回は訪れていますね。

 料理はおまかせのコースで、10品ほど出てきます。たとえばいまの季節なら、とろろのゼリー寄せにいくらをのせた先付け、卵豆腐を月に見立てた椀物やいちじくの煮物など、京都ならではの旬を感じられるものばかり。たいてい、女将おすすめの地酒とともにいただきます。

 その締めに出てくるのが、大きな頭(かしら)がのった鯛めし。土鍋の蓋を開けた瞬間に、湯気と出汁の香りが漂います。おこげがまた、美味しいことと言ったら!

 でもね、何より女将が可笑しくて、食事の合間のちょっとしたやりとりが愉快。それが、一番のごちそうかもしれません。(取材・文=伏見美雪[本誌])

「京夕け 善哉」京都市中京区室町通夷川上ル鏡屋町44-3/営業時間:11:30~13:00L.O.(完全予約制)、17:00~20:00L.O./定休日:水

週刊朝日 2017年10月13日号