どうやら次男は瀧さんに「キングコングの倒し方」について持論を述べていたらしい。瀧さんにお付き合い頂き、次男はいい経験をさせて頂いた。

 しばらくすると次男は休憩中の鈴木福くんとキャッチボール。

「あいつ、なかなか上手いね」。あいつって呼ぶんじゃないよ!! たしかに福くんは野球が上手い。野球とお芝居を両立して、「ポスト板東英二」の道はどうだろう。

 私は鈴木保奈美さんと写真を撮って頂きご満悦。「知らんのか!? リカだぞ! リカ!……ママに聞けっ!」と次男に説明。ケータリングをたらふく頂いて、ロケ地を後にした。結局、江戸村は観られずじまい。

 帰宅して、家族に「江戸村はどうだった?」と問われ、「『江戸時代』のはずなのに、キャッチボールして、美味しいもの食べて、ずっとパパの落語が流れてたよ? あと、パパはリカと写真撮って喜んでた!」。

 次男には大きくなったら、正しい江戸時代の知識を身につけてほしい。ちなみに「藪入り」の時代設定は明治大正だったかな。まぁ、いいけども。

週刊朝日  2017年9月29日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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