“得”している“損”している自治体の数(週刊朝日 2017年9月29日号より)
“得”している“損”している自治体の数(週刊朝日 2017年9月29日号より)
【図表1/2】“損”している自治体(週刊朝日 2017年9月29日号より)
【図表1/2】“損”している自治体(週刊朝日 2017年9月29日号より)
【図表2/2】“損”している自治体(週刊朝日 2017年9月29日号より)
【図表2/2】“損”している自治体(週刊朝日 2017年9月29日号より)

 全国各地の自治体に寄付すれば、食品や特産物をもらえるふるさと納税。自己負担は実質2千円とあって人気が過熱し、4月には総務省が豪華な返礼品の見直しを自治体に求める事態に。ブームであおりを食っているのが、寄付者の多い都市部の自治体だ。その声に耳を傾けると──。

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「ちょっとヘンだぞふるさと納税」。東京都杉並区の公式ホームページに、そんな名称のコーナーがある。

 多くの自治体が肉やカニなど豪華な返礼品を用意して、寄付を集めている。一方で、区の住民税がどんどん減っている。こうした実態を指摘し、

<産物を用意した一部の自治体に寄附が集中しています>

<自治体間の「住民税の奪い合い」が生じてしまっています>

 と訴える。

 区の担当者は「高価なお肉や海産物を用意できないところから、住民税が横取りされている」と憤りを隠さない。

 ふるさと納税は、多くの個人にとってお得な制度。一方で、自治体は明暗が分かれる。寄付を集められる市区町村と、そうでないところ。寄付した人は居住地の自治体に払う住民税が軽減されるしくみのため、寄付者の多い都市部は財政に大きな影響が出る。

 そこで、本誌は総務省の資料をもとに、全国の市区町村のふるさと納税の損得を示す収支を算出した。

 各自治体が集めた寄付額から、住民の寄付に伴う住民税控除額を引く。全国1741市区町村のうち、寄付額が住民税控除額を上回る「黒字」が1279、住民税控除額のほうが上回る「赤字」が462となった。

 赤字額の上位50。東京都内の自治体が24と最も多く、次いで千葉県内6、神奈川県内・大阪府内が各4と続く。これらの自治体は行政サービスの財源が減り、いわば、損していることになる。

 東京都世田谷区の場合、控除額(2017年度)が約31億円に対し、集めた寄付額が2千万円余り。差し引き、約30億8千万円の赤字だ。寄付額は微増だが、控除額が前年度の16億円から倍増した。

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