民進党の新代表となった前原誠司氏。作家の室井佑月氏は前原氏のふがいなさを指摘する。

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 この原稿を書いているのは、8月27日。茨城県知事選の投開票の日だ。第3次安倍第3次改造内閣発足後初の、地方選挙。あたしはその戦いぶりを苦々しい思いで見ていた。先月の横浜市長選のようになってしまうんじゃないかと。

 横浜市長選は、最大野党の民進党が、勝手バラバラに動いた。人気議員が、自公推薦候補の応援に駆けつけたりさ。

 茨城県知事選は、自民党の大物議員が何人も連日地元に応援に行ったそうだ。

 当たり前だよな。10月22日は、青森、新潟、愛媛で衆院補選がある。ここで自民が負けてしまったら、その後行われる衆議院選挙まで厭な空気を引きずりかねない。そりゃあ、気合も入るだろう。

 すごいよな。安倍人気が落ちてきて、党内でのそれぞれの思惑やイザコザが多少表沙汰になってきた。が、選挙になればガッチリとスクラムを組んでしまう。

 野党もそういうところは、真似ればいいのに。茨城で勝てば、その後の3補選にいい感じで挑めるじゃんか。そしてその後の衆議院選だって。

 ときをおなじくして、民進党の代表選が行われているが、前原さんと枝野さん、2人一緒に連日茨城に乗り込むって考えはなかったの?

 茨城の野党候補者の応援をしつつ、そこで代表選に向けての違いを話す、ってやり方。2人の最終目的が党の代表になることじゃなく、安倍自民を倒すことだったら、それもありだと思ったんだけど。

 
 そして、それなら民進党の代表選への国民の関心も高くなったかも。面白くなって、メディアにももっと取り上げられたように思う。

 そうそう、民進党の代表選のコラムを、夕刊紙で書いた。あんまり盛り上がってないので、応援の意味も込めて。

 共産党とも今まで通り協力していくという枝野さん、小池都知事が自分に近い議員を集めて作ろうとしている新党に色気を出している前原さん。あたしはどっちがいいか考えて、枝野さん寄りで原稿を書いた。改憲や消費税増税や原発について、枝野さんのほうがより明確に反対していたから。

 だが、その後、「前原さんのほうが野党集結が進んでいくのに」なんて声が寄せられて……。

 その理由としては、自由党の小沢一郎代表が、BS朝日の番組に出て、

「(前原さんが勝利した場合、)念願の主張である野党結集を打ち出すと思う」

 そう発言したからという。

 そうなの? 前原さんの発言だけじゃわからなかった。海のものとも山のものともわからない小池新党に乗っかろうとすることしか。

 党の代表になろうとしている人が、そういう大事なことをきちんと伝えきれないってどうなの? いっそもうオザーさんを呼んできて任せたら?

 負けたほうが離党したりするんだろうか。早く、民進党はこういうの、というカタチを作って。

週刊朝日 2017年9月15日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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