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認識の違い? 鈴木おさむ、若手が突然「仕事を辞める」ことを憂う

連載「1970年生まれの団ジュニたちへ」

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鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍

鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍

 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「仕事を辞めること」をテーマに送る。

*  *  *
 僕ら40代、団ジュニ世代と今の若い世代とで大きく感覚が違うと感じること。それは「仕事を辞める」ということについて。僕らより上の世代は、会社を辞めて別の会社に転職することは人生を懸けたことだと思うのだが、僕らより下の世代になると、転職はキャリアアップのため必要なことと感じているし、本来なら正しい。テレビ局で正社員で入って辞める人は10年前まではなかなか見なかったが、最近は、入社して5年以内に辞める人も結構見かけるようになった。仕事を「辞める」という感覚の違いに羨ましささえ感じる。ある会社の若い社員は、なぜか僕のところに会社を辞めて転職しようかどうか悩み相談に来たりするのだが、やはり、僕ら団ジュニ世代と比べると今は職場を離れることの罪悪感というのは少ない気がする。それは悪いことでもないし、日本では転職に関する考え方がまだまだ重い気もするので、いいことだと思う。これから大きな会社でも転職は増えてくるのだろう。で、今日、僕が言いたいのは、辞める側ではなく、辞められた側のこと。

 先日、5年間一緒にやっていたスタッフが、トビました。僕のマネジャーのところに朝、電話が来て、もう限界であること、気持ちがついていかないことなどを説明して、「このまま辞めたい」と言った。僕のところには電話やメールなどの連絡はない。この辞め方を、俗に「トブ」という。

 テレビの世界では一昔、「トブ」奴が多かった。ある日突然、現場に来なくなった。これを「トブ」という。僕のドライバーとして働き、細かいことまでやってくれた彼だが、肉体的なしんどさが一番で、そして、僕のことが「怖い」のだという。常々「怖い」と「厳しい」は違うと思っていて、自分的には「厳しい」ほうなのだと思っていたが、違ったようだ。正直言うと、トブことないのになと思うのが一番の気持ち。人によっては、それくらい限界だったんですよというが、「トブ」という辞め方は、今まで積み重ねてきたものが0になるのに近い。5年間やってきたことから減点でなく、「×0」になってしまうことに近い。だけど、それもわかっていての「トブ」ことなのだと思うが。僕らの年代になってくると、「辞める側」から「辞められる側」になってくる。今回の、スタッフのトビから、「怖い」と言って辞めていった彼の言葉から、僕が何を学ぶかが大事な気がする。ちょうど今、人間ドックを受けている途中にこの原稿を書いているのだが、40代中盤、状況や自分の立場もどんどん変わってくるとき。若手だと言われていたのも気づくと10年前。先日、ずっとお世話になってる人が通りすがりに僕に言った言葉。「大事なのは上じゃなく下を見ること」と。僕もこの機会に、ちゃんと下を見て、体のチェックと同様、仕事場での人に対する行動などの「ドック」を自分で行っていこうと思う。このドック、結構必要かも。

週刊朝日 2017年9月1日号


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鈴木おさむ

鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍

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