年代別にみた果実類(ジャム除く)の摂取量(週刊朝日 2017年6月30日号より)
年代別にみた果実類(ジャム除く)の摂取量(週刊朝日 2017年6月30日号より)
この記事の写真をすべて見る

 桃、すいか、ぶどう、さくらんぼ……。色とりどりの果物がスーパーの店頭に並ぶ時期になった。果物は季節感豊かな味覚だが、若者が口にしなくなっている。

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、果実類の平均摂取量は20代が1人1日約61グラムで、60代の半分以下。20代の58%は摂取量ゼロ、「フルーツレス」だ。

 農協系のJC総研の「野菜・果物の消費行動に関する調査結果」でも似た傾向だ。果物を食べる頻度が「週に1日未満/食べない」と答えたのは、30代で43%、20代以下で55%。青柳靖元・主席研究員は若者のフルーツ離れの傾向について、「年々強まっている」とみる。

 東京都内の会社員・兒玉裕輝さん(32)は一人暮らしで、バナナを時々口にする程度。他の果物を食べない理由は「包丁を使うのが面倒くさい。手も汚れるし、ゴミも出る」という。

 若者の果物離れに、産地は危機感を強めている。

 青森県庁は県内外の小学生に「青森りんご出前授業」を展開する。栄養価の説明や試食を通して、食習慣をつけてもらうねらいだ。妊産婦向けには、りんごを使った料理のレシピなどを紹介するパンフレット「りんごの赤はママの愛」を配る。

 総務省の家計調査(二人以上世帯)によると、29歳以下の世帯のりんご購入量は全国平均で2000年に約3.7キログラムあった。16年は1.9キログラムまで減少。70代以上が20キログラム前後を保つのと対照的だ。県庁の担当者はりんご離れ対策を「一過性で終わらせず、地道に取り組む」という。

 みかん離れも深刻だ。

 農林水産省によると、最盛期の1975年に約327万トンだった出荷量は16年に約71万トン。青果物健康推進協会の近藤卓志さんは、食後にこたつで食べるなどみかんの食生活シーンが減ったことが一因とみる。

「こたつでみかん」が減り、同協会などは13年から、職場で食べる「デスク de みかん」をPRする。ビタミン豊富な魅力を伝え、企業の食堂などで販売。多いときは3日間で2.5トンも売れた。近藤さんは「若い世代もみかん嫌いになったわけではない。機会をつくれば食べるはず」と話す。

次のページ