最近はスマホ老眼に悩む人も多いが、目にやさしいアントシアニンを多く含むアロニアは注目の食材だ。

「アロニアブームが今、始まったといえるでしょう」

 そう話すのは、兵庫県西宮市にある大手前大学総合文化学部の松井博司教授だ。洋菓子メーカーが数多い地だけにスイーツ学専攻があり、パティシエでもある松井教授が担当している。松井教授は菓子の素材としてアロニアに注目し、あるコンビニの関係会社と商品化を検討中という。

「今の時代、お菓子はおいしさだけじゃなくて、『いかに健康に寄与するか』が求められている。これは、世界的なトレンドになってきています」と松井教授。アロニアはこの流れに沿う食材、というわけだ。

 日本でも栽培されている。農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」によると、2014年の収穫量は40トンで、10年前の10倍に増えた。北海道が38トンと大半を占めるほか、新潟県や岩手県などでも生産している。

 通信販売ショップ「らてら」(東京都)の金井通徳代表は「道内ではかなりの人がアロニアをご存じですよ」と話す。北海道産を使ったサプリメント「北国アロニア」を扱っているが、売れ行きはこの5年で3倍ほどに増えているという。

 旭川医科大学(北海道旭川市)の抗酸化機能分析研究センターは、道産素材の機能性を調査している。アントシアニン濃度を調べると、100グラムあたりに含まれる量は、アロニアが約400ミリグラムとほかの素材よりずば抜けて高い。アントシアニンが豊富な素材としては黒豆や黒米も知られるが、それらと比べて10倍以上多い。抗酸化値もブルーベリーより高い。

 酸化は、人間の老化と深く関わっている。それを食い止める抗酸化物質は、体内でもつくられているが、40歳前後から減っていく。酸化すれば肌にシミが増え、髪は白髪に。美容だけでなく健康のためにも、「いつまでも錆びない体作り」が大切になる。

「北海道アロニア研究会」は近く、アロニアの健康効果をまとめた冊子を発行する。脂質低下、肝機能改善、胃粘膜保護作用など、さまざまなメリットを見込める魅力を伝える予定だ。

次のページ