14年に死亡事故が起きた宇都宮市の24時間型託児所トイズでは、園児が身動きできぬようにヒモで縛り上げられていた実態が明らかになった。だれが見ても異常な光景だ。

 子に目が届かない事故があれば、拘束などで異常な管理をする実態もある。こうしたことが保育現場で起きるのはなぜなのか。

 労働経済ジャーナリストの小林美希さんは言う。

「知識や経験のある保育士であれば、上司や運営会社に保育環境の問題点を『おかしい』と意見できます。そこで改善策が取られればいいのですが、放置されることもある。そうすると、その保育士は辞めてしまう。保育に責任を持てないからです。園には経験の浅い保育士ばかりが残り、ますます質が下がるのです」

 保育を巡る環境の負の連鎖が、ブラックな実態を招いている。

週刊朝日  2017年6月2日号