蝦夷松 銘 轟/空洞化した太い幹が全体的に厳しい表情を見せつつ、その中心でシャリが輝きを放つ蝦夷松盆栽の代表的な作品。蝦夷松は関東では培養が難しいとされているが、推定樹齢1000年の現在も美しい姿を見せている(撮影/倉田貴志)
蝦夷松 銘 轟/空洞化した太い幹が全体的に厳しい表情を見せつつ、その中心でシャリが輝きを放つ蝦夷松盆栽の代表的な作品。蝦夷松は関東では培養が難しいとされているが、推定樹齢1000年の現在も美しい姿を見せている(撮影/倉田貴志)

 おじいちゃんの趣味と思われがちな盆栽。海外では“クール”なBONSAIとして評価され、クールジャパンの一翼を担っている。そんな熱い眼差しが注がれるBONSAIをより理解するために、さいたま市大宮盆栽美術館が所蔵する至高の名品、そしてその奥深い魅力を紹介する。

【写真特集】クールジャパンな盆栽の世界

■至高の名品
長い年月を経て美しい姿を今に伝える盆栽。ここに掲載するのは、数ある盆栽の中でも大宮盆栽美術館が所蔵する名品中の名品である。世界中の愛好家がひと目見たいと思うものばかりを紹介する。

蝦夷松 銘「轟」Yezo-matsu(Yezo Spruce)named : Todoroki
空洞化した太い幹が全体的に厳しい表情を見せつつ、その中心でシャリが輝きを放つ蝦夷松盆栽の代表的な作品。蝦夷松は関東では培養が難しいとされているが、推定樹齢1000年の現在も美しい姿を見せている。

五葉松 銘「青龍」Goyo-matsu(Japanese Five Needle Pine)named : Seiryu
水面から現れ、体をくねらせながら天を目指す龍を表現している。横幅1.6メートルほどで、黒い肌は鱗、白いシャリは腹を思わせ、龍がたてがみをなびかせながら風を切る音や、雄叫びが聞こえてきそうな迫力である。

黒松 銘「羽衣の舞」Kuro-matsu(Black Pine)named : Hagoromo-no-mai
太い根元から3本に分かれる幹の数々が上下左右に自由に踊っているようなリズミカルな作品。静岡市にある三保の松原の「天女伝説」を思わせることから銘がついたとされる。のびやかで、優雅な音曲が聞こえてきそうだ。

五葉松 銘「舞子」Goyo-matsu(Japanese Five Needle Pine)named : Maiko
推定樹齢350年。同じ根から複数の幹が立ち上がる「根連なり」の樹形。神戸市垂水区にある舞子の浜を思わせるところから、この銘がついた。松の根元は木々の間で遊んでいる子どもたちの姿を想像させる。

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