「政府は実は、米軍が北朝鮮に武力行使する可能性は極めて低いとみています。米軍が攻撃すれば地上戦は避けられず、在韓米軍にも被害が及ぶ。米国は韓国の新大統領が誕生する5月9日まで行動は起こさず、外交圧力で臨む方針だ。中国に石油禁輸などの制裁を実行してもらう段取りを先日の米中首脳会談で取りつけたところ。日本政府は米国の後押しをするだけです」

 16日の北朝鮮のミサイル発射失敗も“デキレース”だったとの見方もある。政府関係者がこう語る。

「あれは米国がサイバー攻撃をかけて失敗させたとも言われている。あえて北朝鮮に撃たせることで中国に制裁を強化させる戦略です。米国の望みは経済制裁で北朝鮮を締め上げて金正恩氏を亡命させ、暗殺された金正男氏の息子ハンソル氏らによる後継政権をつくること。米中ロの3国で北朝鮮の『信託統治』を行う方式を考えている」

 超大国間のパワーゲームが進行する中で、日本は蚊帳の外。首相が外遊に出ていても、大勢に影響なし、ということなのだろうか。

「官邸は北朝鮮の脅威をあおることで昭恵夫人の森友問題から世間の目をそらせるし、共謀罪の必要性を国民に認めさせやすくなる。得意の情報操作ですよ」(前出の政府関係者)(本誌・小泉耕平、村上新太郎)

※週刊朝日2017年5月5-12日号