移転か、現地建て替えか。どっちにかじを切るか、小池知事のハンドリングに注目したい (c)朝日新聞社
移転か、現地建て替えか。どっちにかじを切るか、小池知事のハンドリングに注目したい (c)朝日新聞社

 期間は7年、費用は500億~800億円──。

 築地市場を改修する案の試算が、3月29日、東京都の市場問題プロジェクトチーム(PT)の会合で、小島敏郎座長(青山学院大教授)から示された。小池百合子知事は、31日の記者会見で「一案として受け止める」と述べたという。

 4月から豊洲市場への移転延期による損失補償費が業者に支払われるというタイミング。その額は昨年11月から3月末までの分だけで50億円と都は予算計上しているが、今後増える可能性も。そもそも豊洲市場建設には、6千億円もの膨大な費用が投じられたことは周知のとおりだ。

 なぜ今、築地改修案なのか。豊洲移転を主張する自民党都連幹部はこう話す。

「ここでアドバルーンをぶち上げたのは、小池さんへの援護射撃では。小池さんは築地か豊洲か、かなり悩んでいると思います。小池さんはこの問題を7月の都議選に結びつけたかったんでしょうが、政局にすることに対しては批判の声も強まっている」

 今年に入って豊洲市場の地下水から環境基準を大きく超す有害物質が検出。すんなり移転とはいかなくなった。かといって、移転延期が続いてさらに費用がかさめば、築地にとどまるにも理由がいる。つまり、判断が難しくなる中で、豊洲と築地のどちらに転んでも“言い訳”ができるように小池知事は周到に準備をし始めた、ともとれるのだ。

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