瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)/1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒。57年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞受賞。73年、平泉中尊寺で得度。法名寂聴(旧名晴美)。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、11年『風景』で泉鏡花文学賞。98年に『源氏物語』の現代語訳(全10巻)を完結。06年文化勲章を受章。『かの子撩乱』『美は乱調にあり』『青鞜』『比叡』『手毬』『求愛』など著書多数 (撮影/東川哲也・写真部)
瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)/1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒。57年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞受賞。73年、平泉中尊寺で得度。法名寂聴(旧名晴美)。92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、11年『風景』で泉鏡花文学賞。98年に『源氏物語』の現代語訳(全10巻)を完結。06年文化勲章を受章。『かの子撩乱』『美は乱調にあり』『青鞜』『比叡』『手毬』『求愛』など著書多数 (撮影/東川哲也・写真部)

 週刊朝日と同じ年生まれの作家・瀬戸内寂聴さんに、95年の人生を振り返って語っていただきました。お相手は同じ作家の林真理子さんです。

*  *  *

林:先生の人生って、恋と書くことと……。

瀬戸内:だって、生きるってことは、それだけじゃない。

林:まあ、ステキ!

瀬戸内:あなただってそうでしょ?

林:先生は得度なさるまでいろいろあったでしょうけど、私なんて……。

瀬戸内:隠してるだけじゃないの? エッセーに書いてるみたいに、ご主人は本当にあんなにうるさいの?

林:ホントにうるさいんです。

瀬戸内:そんなら別れなさいよ。なんでヘイコラしてるのさ。

林:このあいだ占いの人に見てもらったら、向こうの先祖が私を手離さないと言われましたよ。こんなにいいお嫁さんはいないから。

瀬戸内:アハハハ。だってあなたは養ってもらってるわけじゃないのに、朝早く起きてお弁当作ったりしてるんでしょう? 普通そんなことしないわよ。それであれだけの仕事して、本当につくづく偉いと思うわ。

林:私もそう思います(笑)。

瀬戸内:あなたには悪いけど、私は女の作家は結婚しないほうがいいと思ってるの。でもあなたをここまで書かせたんだから、そんなに悪い亭主じゃないのかもしれない。

次のページ