「小池氏の最終目標は国政復帰して首相になること。今後の展開次第で自民党との関係修復を図れるよう、保険をかけているのではないか。ただ、小池派の候補者からしたら、小池氏が離党して自分たちの代表となり、『本気で勝負する』という姿勢を示してくれたほうが心強い。離党の踏ん切りをつけられるかが、今後の一つのポイントです」

 そもそも40人規模の独自候補擁立自体を「無謀」と見る向きもある。都議会公明党関係者がこう語る。

「個別の選挙区を見ていくと、やはり自民党は鉄板の地域が多い。小池派の独自候補が新たに出ると、民進党と共産党が割を食って落選し、自民党はしぶとく生き残るパターンになりそう。例えば中野選挙区(定数3)では、自民の川井重勇都議会議長と公明の現職候補の当選は鉄板。残り1議席を民進、共産、小池派独自候補が奪い合うという構図になるわけです」

 結局、共倒れが続出し、小池派は思ったより票を伸ばせないというのである。
 前出の都政新聞・平田主筆も、小池派独自候補の獲得議席を「5議席程度ではないか」との見方を示す。さらに、小池派勢力の合計で過半数を獲得できた場合でも、それは完全勝利を意味しないという。

「新風自民も公明も、都議選を乗り切るために小池氏に近づいているに過ぎない。流れが変わって小池氏への都民の支持が離れる展開になった場合、手のひらを返して離れていくことも考えられる」(平田主筆)

 さらに小池氏の目の前には、難題が山積している。14日には豊洲市場の地下水モニタリング調査の最終結果で、環境基準の79倍のベンゼンと、検出されてはいけないシアンなどが検出された。

「過去の都知事時代に隠されてきた本当の検出結果が、小池知事になって出たのではないか」(東京中央市場労組の中澤誠執行委員長)

 業者への補償費などの負担も日々膨らんでいく中、落としどころを見つけられるのか。

 判断を誤り都議選前に「小池バブル」が崩壊すれば、勢力の瓦解(がかい)につながりかねないリスクがあるのだ。

 果たして都議会を制圧できるのか。「勝負師」の本領が試されそうだ。(本誌・上田耕司、小泉耕平、村上新太郎)

週刊朝日  2017年1月27日号