墜落した機体 (c)朝日新聞社
墜落した機体 (c)朝日新聞社

 沖縄で立て続けに起きた2件のオスプレイの重大事故は、県民が抱いていた不安と怒りに再点火した。辺野古基地の工事再開、米軍の北部訓練場で「オスプレイパッド」(離着陸帯)の建設を巡る反対運動が激しさを増す中、不信感が渦巻く現地をジャーナリストの桐島瞬氏がルポした。

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 オスプレイの墜落事故が起きたのは、米軍普天間飛行場の移設が計画されている名護市辺野古にある大浦湾に接する海域。12月13日午後9時50分ごろ、第11管区海上保安部に「オスプレイが着水した」との情報が入った。別の1機が普天間飛行場に胴体着陸したのは、わずかその1時間半後だった。

 米軍や関係者によると、陸地から約30キロ離れた空域で、2機のオスプレイと他のヘリの合計3機が空中輸送機から給油を受ける訓練を実施していた。給油には空中でホースを使って2機を接続する必要がある。訓練の途中、何らかの原因でプロペラが傷つき、機体が制御不能になったものと見られている。

 今回の墜落事故を米海軍はもっとも深刻な「A級」と評価し、オスプレイが国内で起こしたトラブルでは初めての重大事故となった。原因は米軍が解明中だが、軍事ジャーナリストでオスプレイに搭乗経験もある世良光弘氏は、操縦者のミスが引き起こした可能性が高いと分析する。

「空中給油は、輸送機が後方に伸ばす長いホースをオスプレイの先端から伸びる筒状の受油装置で受け止めて行います。微妙な作業のため、成功するかどうかは2機のパイロットのあうんの呼吸が必要。タイミングや向きが合わずに給油装置が切れてプロペラに絡まり、機体にトラブルが発生したことも考えられます」

 特に夜間帯であれば難易度の高い作業。ミスが起きてもおかしくない。

「もともと軍用機が一般機よりもハードなことをやるのは仕方なく、運用面でのリスクは宿命のようなところがある」(世良氏)というから、今後も同様の事故が起きる可能性があるのだ。

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