日清も「5分でお客様においしさを届けるということに縛られすぎていて世の中の多様性を見抜けていなかったことを深く反省しております」との“謝罪文”をウェブ上で発表したほどだ。

 その後、推奨時間よりも待って食べることがトレンドに。「10分ラ王」「10分マルちゃん」「10分凄麺」などが広がった。

「どん兵衛は、特有のしっかりとしたコシのある麺が奏功したのでしょう。カップ麺はメーカーのものではなく、お客様のもの。お客様のほうで好みを探し、いろいろと楽しまれているようです」(日清食品広報部の鶴丸一毅さん)

 これまで、さまざまな待ち時間のカップ麺が生まれては消えた。そこで、即席麺の歴史に詳しい愛好家の山本利夫さん(56)の協力を得て、待ち時間の変遷をたどった。

 1971年に出た初のカップ麺「カップヌードル」は3分。当時は、「3分間待つのだぞ」とのボンカレーのCMに象徴されるように、インスタント食品は3分が定番だった。

 75年、5分が登場した。東洋水産の「きつねうどん」だ。翌年に出た日清の「どん兵衛きつねうどん」など、太麺は5分の流れができた。

 77年には、待ち時間4分のノンフライ麺「どんぶりくん」を、明星食品が発売した。以降、日清の「めん八珍」など、ノンフライ麺は4分の流れとなる。

 80年、新たなジャンルで5分の商品がはやった。高級カップ麺だ。東洋水産の「力一杯」は1個300円。明星食品が81年に出したレトルト具付きの「中華飯店」も、5分だった。

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