沢村:ものごころついたときからずっと言われてきました。「テレビの仕事をしなさい」って。

林:お母さんの若いときの写真をチラッと拝見しましたけど、きれいな方ですね。

沢村:若いころはきれいだったみたいですよ。帽子を持ってポーズして写真撮ってますから(笑)。

林:自分でも俳優になるんだとずっと思ってたんですか。

沢村:うちは親父が甲斐性なしだったので、早い段階で僕が母親の面倒を見なきゃいけないんだろうなと思ってました。

林:それが俳優だったわけですか。

沢村:僕は小さいときから映画を見るのが好きで、お小遣いがたまると、おいしいものを買うより映画を見に行くのが好きな子どもだったんです。だからやりたい仕事ではありました。

林:そうは言っても、やりたいだけでできる仕事じゃないですよ。お母さまは、いまもお元気なんですよね。

沢村:ちょっと体悪くしてますけど。

林:うれしいだろうなぁ。小さいときから「俳優になりなさい」と言ってきたハンサムな息子が、本当に俳優さんになって、こんなに人気者になったら。

沢村:母は喜んでると思います。鹿児島に帰ったときに飲み屋に行くと、「お母さんにお会いしました」と言う人がいっぱいいるんです。「どこで会ったんですか?」って聞くと、「路面電車を待っていたら、『私は沢村一樹の母なんです』と話しかけられました」とか(笑)。一日に何人自慢したらこんなに出会うんだろうと思うぐらい(笑)。

週刊朝日 2016年11月11日号より抜粋

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