(c)カトリーヌあやこ
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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「仰げば尊し」(TBS系 日曜21:00~)について、TBSの「不良が◯○で更生する」物語は、昭和スタイルだと指摘する。

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 数ある「不良が◯◯で更生する」物語。◯◯に入るのは、ラグビー(「スクール☆ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争」1984年TBS系)、野球(「ROOKIES」2008年TBS系)、新体操(「タンブリング」10年TBS系)など。このドラマの◯◯は吹奏楽、そしてTBS系だ。どんだけ不良を更生させたいのか、TBSよ。

 今回は、荒廃した高校の弱小吹奏楽部を、一人の音楽講師が成長させたという実話が原作。講師を演じるのは寺尾聰で、不良生徒役には二世俳優が顔を並べる。原作が80年代当時の話なので、この不良たち、めっちゃ昭和なんですよ。

 リーゼントあり、パンチパーマあり。学ランの下にはアロハシャツ。校舎のガラスを椅子で叩き割り、教師の胸ぐらを掴み、タバコをふかして麻雀ざんまいって、そうそう懐かしいよね~、盗んだバイクで走り出しちゃうよね~。と、ノスタルジーにひたっていると、おいちょっと待て。生徒がスマートフォン使ってるよ。ゲームセンターに行ったら「スペースインベーダー」じゃなくて、「太鼓の達人」だし。昭和なのか、平成なのか。思いがけない時空間の歪みに、軽く目まいを覚える。講師・寺尾の生徒に対するアプローチも、やっぱり昭和スタイルだ。殴られても殴られても、生徒と向かい合う。教え子には「家族にならなきゃ」と呼びかけ、「同じ釜の飯を食おう」と、自宅に招き入れる。

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