津田大介 熊本地震報道で見えた「紙メディアの力」を解説 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介 熊本地震報道で見えた「紙メディアの力」を解説

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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避難所で炊き出しに並ぶ避難者たち(熊本県西原村) (c)朝日新聞社

避難所で炊き出しに並ぶ避難者たち(熊本県西原村) (c)朝日新聞社

 ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる、ジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。熊本県で起きた地震の報道から紙メディアの力を見ることができたという。

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 ここ数年来、出版不況の波はとどまるところを知らない。新聞の発行部数や雑誌・書籍の売り上げは90年代をピークに、ここ15年ほど毎年右肩下がりになっている。「紙」を発行している出版社の経営状況はどこも青息吐息だ。

 消費者はなぜ「紙離れ」を起こしているのか。娯楽の多様化や、情報機器の普及によって読者の時間が奪われているといった、もっともらしい理由はいくらでも挙げられるが、身も蓋もない言い方をすれば、「ウェブ」の登場によって多くの情報が「無料」で読めるようになったことが最大の要因であろう。

 スマホやソーシャルメディア、検索エンジンの普及によって24時間365日、欲しい情報をすぐに引き出せるようになった現在、消費者に素早く情報を届ける媒体としての「紙」の優位性はほぼなくなった。

 多くの新聞社がウェブで無料の速報を流しているのは、そうした情報環境の変化に対応するための施策と言える。しかし、ウェブで情報を無料提供する限り「売り上げ」にはならない。正確に言えば、無料のウェブサイトに広告を貼り付けることで売り上げは立つが、安定した収入になる購読料と比べるとウェブの広告収入は微々たるものでしかないのだ。多くの新聞社や出版社がウェブへの本格進出をためらうのはそうしたビジネス上の理由がある。

 ではもう「紙」に未来はないのか? 答えは「否」である。ただし、それは旧態依然のビジネスモデルを維持するのをやめ、読者が真に求めている情報をタイムリーに提供し、読者が望むときに掲載された情報を自由に引き出せる安価な有料「データベース」事業を本格化させるという条件ありきの話だ。


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