新潟県中越地震で車中泊を余儀なくされた被災者が、相次ぎ死亡して注目された同症候群。狭い場所で無理な姿勢を続けたことにより、ふくらはぎの静脈などに血栓ができ、それが肺の血管を詰まらせる病気だ。

「適度に体を動かすことを忘れないで」(渡辺さん)

 身の安全が図れたら、次は安否確認などの情報伝達が欠かせない。東日本大震災では、災害時のSNSの利便性に注目が集まった。今回も地震発生直後から、ツイッター上には被害状況を知らせるツイートが殺到。南阿蘇村などでの建物の倒壊による閉じ込めや、土砂崩れなどによる地域の孤立を訴える書き込みも相次いだ。

 SNS活用に詳しい東北大学大学院情報科学研究科の西山大樹准教授は、「SNSのほうが使えるという認識が、一般的になった」とする一方、一番有用なのは、「NTTグループや携帯電話会社各社、大手プロバイダーなどが提供する『災害用伝言板』などの従来型サービスだ」と言う。

「携帯電話の各事業者やNTTの災害用伝言板の横断検索機能もある。確実性を考えると、こうした専用の伝言サービスをメインに活用するほうが安心でしょう」

 災害時の命綱ともなるスマホや携帯電話。最近の機種は“非常用節電モード”がある。万一のために、切り替え方を確認しておきたい。防災速報を流したり、懐中電灯並みの光を発したりするなど、災害時に活躍するアプリも多いという。

 最後に、地震防災が専門の東京大学生産技術研究所教授、目黒公郎さんの言葉を紹介する。

「いつ大地震がきてもおかしくない昨今、どんな天候で、自分がどこにいて、何を持っているか、まわりで何が起こっているかを把握し、地震が起こったらどんな行動をとらなければならないか、イマジネーションを働かせて生きていかなければならない」(本誌・上田耕司、松岡かすみ、山下美樹子、秦 正理)

週刊朝日  2016年4月29日号