TPP特別委員会で追求される西川衆院議員 (c)朝日新聞社
TPP特別委員会で追求される西川衆院議員 (c)朝日新聞社

 一冊の本のゲラ刷りが国会で波紋を呼んでいる。

 衆院環太平洋経済連携協定(TPP)特別委員会の委員長を務める、自民党の西川公也衆院議員が、TPPについて『TPPの真実─壮大な協定をまとめあげた男たち─』(中央公論新社)という、交渉の内幕を書いた著書の出版を計画。

 ところが、その出版計画が4月7日以降、衆院特別委で暴露され、大騒ぎに。政府はTPP交渉の経過をほとんど明らかにしていなかったため、「機密漏えいではないのか」と民進党議員に追及され、西川氏が明確に答弁をしなかったために委員会は紛糾した。

 それなのに委員会の中断時、西川氏が自ら執筆を認めたような発言をしたことが、マイクを通じて伝わり、より窮地に追い込まれた。

 本誌はそのゲラ刷り全文を入手した。西川氏は安倍政権下で自民党や農相を歴任するなどTPP交渉の中枢にいた人物。

 原稿では≪最後の最後で交渉の切り札を持っていました≫と得意げに交渉過程に触れているのだ。

 西川氏は原稿の中で、≪安倍首相に「TPPに対する党の意見を集約してほしい」と言われ(略)、首相が取りまとめを頼んできた理由は「族を以って族を制す」ということ≫と分析。

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