まっさらな袋とじは男にとって重荷です。見たいのに開いてない「もどかしさ」……というより、たいして見たくはないのに、開いてないと、なーんか見たくなる「ジレンマ」。
だから「この店の週刊誌の袋とじはいったい誰が破いているのだろう?」と気になります。
ひげのマスターか。早くからいる常連のじいさんか。最初に手に取った一見のお客か。
ある日、開店時間に店を訪れました。マガジンラックには、今朝買ってきたばかりと思われる袋とじ付きの週刊誌が。ライバルは皆、スポーツ紙を開いて袋とじには気づいていない様子。
「しめしめ……」
席につき、コーヒーを注文すると、店員の女の子・佐々木さん(仮名)が、
「あー!! ちょっとお待ちくださいねーっ!!」
と慌ててカッターを持ってきて袋とじを開け始めました。
「バタバタしてて忘れてましたーっ!」
明るい笑顔でカッターを操る。
「はい、失礼しましたー」
さっとページを閉じてコーヒーを運んできてくれた佐々木さん。聞けば、佐々木さんが袋とじ開け係なんだそう。店員さんが開店前にカッターで丁寧に開けてたのね。さもありなん。
20代の女子に袋とじの「死ぬまでセックス特集」を提供してもらい、無事この店の平和は保たれているのですね。まさに天の岩戸を開けるがごとし。
あとひとつ気になることが出てきました。この店の週刊誌のクロスワード、いったい誰が最初に解いてるんだろう?
※週刊朝日 2016年4月1日号