袋とじが開いているとホッとする?(※イメージ)
袋とじが開いているとホッとする?(※イメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「週刊誌」。

*  *  *

 東京に出てきて、喫茶店に通うようになったら週刊誌を買わなくなりました。私の田舎には週刊誌が置いてあるような喫茶店がなかったので、週刊誌を読むには自費で買うか、立ち読み。ちょっと足を延ばして図書館。

 小学生の時に少年ジャンプを買い始めてから、少年サンデー、少年マガジン、ビッグコミックスピリッツ、モーニング、宝島、週刊プロレス、文春、新潮、現代、ポスト、アサ芸……定期不定期あれど、いろんな週刊誌を購読してきました。もちろん、週刊朝日もナンシー関さんの「小耳にはさもう」目当てに買ってましたよ。中高生の頃かな。

 今、行きつけの喫茶店にはけっこうな数の週刊誌が常備されています。「FRIDAY」から「東洋経済」まで幅広いです。

 比較的男性客が多い店なので、グラビアが豊富な週刊誌が人気。いつも先客が読んでいて、ラックに返されるのを横目で確認したら素早く確保するようにしていますが、私が手にする頃には、必ず袋とじが破られていて、すでにお手つき状態です。

 でも、喫茶店の週刊誌は、袋とじが開いていると、正直ホッとします。

 自分で買った週刊誌の袋とじなら一人で誰にも邪魔されず、気兼ねすることなく開けますが、公共の場にある袋とじは手に取る前に開いてて欲しい。閉じたままだと、ちょっと切ない。

 喫茶店の週刊誌の袋とじが開いてなかったら、あなたはどうしますか? 周りの目も気にせず、いきなりビリビリやりますか?

「これ開けていいですかー?」

 って店員さんに許可を得てから開けますか?

 袋とじをあきらめて、涙をのんでめくるめく世界を見ずにページを飛ばしますか?

次のページ