築地市場の歴史に幕 豊洲に移転で“ブランド力”失墜か (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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築地市場の歴史に幕 豊洲に移転で“ブランド力”失墜か

築地市場

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「電車通勤の従業員の交通費が跳ね上がるし、買い出しのお客さんも来るだけで大変。高架上を走る『ゆりかもめ』は台風などで止まることも多く、悪天候時に市場が機能しなくなる恐れもある。車でのアクセスも、環状2号線ができるまでは今でも渋滞の激しい勝鬨橋に交通が集中し、混乱するのではないか」

 JR主要駅とを結ぶバス路線の運行を求める声も高まっているが、具体的な話は決まっていない。「仕入れが間に合わずランチ営業ができない飲食店が出てくる」という懸念の声も上がっているという。都新市場整備部の見解はこうだ。

「バスについては、交通事業者と調整しているところです。豊洲市場は駐車場の数が築地より多い。それほど周辺の交通渋滞はないと考えています」

[3]分断される物流ルート

 現在の築地市場は、魚介類を扱う水産物市場と、「やっちゃ場」と呼ばれる野菜や果物を扱う青果市場が敷地内の狭い道路を挟んで隣り合って並び、徒歩でもすぐ行き来できる。ターレーと呼ばれる、構内用の運搬車が市場のあちこちを行き交い、物流の要となっている。

 だが、豊洲市場ではそんな自由な動きはできない。水産市場が位置する6街区、7街区と青果市場が位置する5街区は、幹線道路である環状2号線で分断されているのだ。

「今の築地では、買い出しに来た業者は『茶屋』と呼ばれるスペースにトラックを止め、そこに水産卸業者や青果卸業者がターレーで商品を配達する。ところが豊洲では各街区が分断され、地下道はあるがターレーの通行は禁止。街区をまたいでの配達は、いちいちトラックやライトバンに荷物を積み替えろと言われている。これでは配達にかかる時間や人件費が今より増え、価格も上がってしまい、やっていけなくなる」(関戸氏)

 市場の生命線ともいえる物流の動線に大きな不安があるというのだ。前出の山縣氏はこのように語る。

「肝心な物流ルートもまだ決まっていない。結局、大きなハコモノをつくっただけではないのか。東京都はタテ割り行政で問い合わせもたらい回しにされ、担当者も数年で代わってしまうので、これまでの話が十分に引き継がれていない。業者の声を真摯に聞いてきたとは思えません。豊洲が80年以上続いた築地と同じくらい長く続く施設になるのか、疑問です」

 物流について、都新市場整備部はこう答えた。

「衛生面からも、市場外となる街区間はトラックやバンで移動していただきたいと考えています。物流にはさまざまな手段があり、業者間で利害も異なるため都は介入しづらい。今も協議会で検討が続いており、開場ギリギリまで議論されていくものと考えています」

 豊洲移転の総事業費は、豊洲の土壌汚染対策費などの影響で、当初見込んだ約3900億円から、約5800億円に膨れ上がっている。万一、移転が失敗に終われば、だれも責任をとらない新国立競技場問題の二の舞いになりかねない。世界に冠たる「築地ブランド」を失うようなことだけはあってはならない。

週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋


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