自己愛性パーソナリティー障害の傾向が…(※イメージ)
自己愛性パーソナリティー障害の傾向が…(※イメージ)

 川崎市の老人ホームで3人の高齢者が相次ぎ転落死した事件で、ホーム職員だった男・今井隼人容疑者(23)が逮捕された。

 今井容疑者は15年1月から5月にかけて、入所者3人から現金や指輪など計約80万円相当を盗んだ疑いで逮捕、起訴され、横浜地裁川崎支部で懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決を受けた。本人が自発的に申告した余罪を含め、19件もの窃盗を重ねていた。

 精神科医の香山リカ氏は次のような見解を述べる。

「今井容疑者は自己愛性パーソナリティー障害の傾向がみられます。『自分はこうあるべき』『自分はもっと注目されるべき人間だ』というような理想の自分像が強くあって、現実とのギャップに苦しむ。やがては自分自身をだまし、現実のほうを理想に合わせようとするようになります」

セレブ生活”にこだわり、連続不審死事件で死刑判決を受けた木嶋佳苗被告などがこうしたタイプに当てはまるという。

「自ら転落させた被害者に救急救命措置をしたことからも、高度な資格を持つ有能な自分を周囲に認められたいという欲求が垣間見られる。人を殺せば重罪になるという現実に、考えが及ばなかった可能性があります」(香山氏)

週刊朝日 2016年3月4日号より抜粋