ミッツ:近所に住んでるんで。行く店はほんの3、4軒ぐらいしかないんですけどね。ふつうのゲイの人たちが行くようなお店は、コワくて入れないから。

林:行ったらいじめられそう?

ミッツ:というか、6席くらいしかない狭い店の1席分とっちゃうのが申し訳なくて。みんな出会いを求めて店に行くわけですからね。だから女の人も、純粋なゲイバーにむやみに行くものじゃないですよ。今、2丁目は観光地化しちゃって女の子のほうが多いくらいだけど、そういう人に向けたお店がちゃんとありますから。

林:外国の方もいます?

ミッツ:いますね。中国や台湾の方が多いです。アジアのゲイシーンがここ10年ぐらいすごくオープンになってきましたから。

林:ミッツさんは初めて2丁目を訪れたとき、居心地がいいという感じ、ありました?

ミッツ:男として行ったときは、ヘエーという驚きでしたね。「あ、同じような人がいるんだ」みたいな。でも私たちははじかれ者というか、男にモテないやつらが自虐的にやったのが女装なんですよ。2丁目的な同性愛のヒエラルキーの中では、最下層なんです。

林:そうなんですか。初めて知りました。

ミッツ:トップは、顔がよくて筋肉があってファッションセンスがよくて、お金も持っているゲイの人。

林:そういう方ってどこにいるのかしら。

ミッツ:2丁目にもいますし、どこにでもいるんじゃないですか(笑)。

週刊朝日  2016年1月22日号より抜粋