「日本のGDPの6割を占める個人消費支出は、東日本大震災で消費マインドが強烈に冷え込んだ11年3月の水準を下回り続ける危機的な状況です。かつてのバブル崩壊やリーマンショックのときは、円高によるデフレで国民生活はなんとか助けられてきたが、今は円安で輸入物価が高騰している。消費増税とのダブルパンチを食らえば、国民は本当に生活できなくなりますよ」

 しかも、再増税となれば、17年を待たずに前倒しで影響が顕在化してくる。

「企業は再増税による経済の落ち込みを織り込んで弱気な事業計画や業績予想を立ててくるでしょう。政府が期待する設備投資や賃上げなどできる余裕はありません。消費増税により16年の景気には急ブレーキがかかり、17年には深刻な不況に陥るおそれがあります」(山口氏)

 とはいえ、皮肉なことに仮に増税を再び先送りしたり中止したりしたとしても、最悪のシナリオは避けられそうにないという。

「一時的な安心感は広がるでしょうが、増税に代わる財源確保策を打ち出せない限り、政権に対する不信感と将来不安が募るだけ」(斎藤氏)

 16年の日本経済と安倍政権は深刻な事態に直面するかもしれない。

週刊朝日 2016年1月15日号