東海新幹線CMシリーズ 名作の裏にはスタッフの遠距離恋愛

 数々の名作とも呼べるCMを作り出してきたJR東海。JR東海初代社長・須田寛さん(84)にその制作の経緯を聞いた。

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 国鉄が民営化し、私がJR東海社長に就いてすぐの昭和62(87)年、地域に密着した安全第一の会社ができたと伝えるため、その時と同様にムードを作るキャンペーン「シンデレラ・エクスプレス」(テレビCMで流れたのはキャンペーンと同名の曲で、松任谷由実が歌った)をやるに至りました。

 日曜の東京駅、夜の最終列車近くになると新幹線のホームに男女が集まる。遠距離恋愛や単身赴任で遠くに帰らねばならん人が多いのですな。電通からの提案の、「出会いと別れ、そんな人の気持ちも大事にします」といった制作意図の説明も受けました。

 聞いてすぐ、「これはいける」と思いました。JR東海は本社機能が名古屋と東京にあるため、よく出張しますよね。週末の最終で東京から名古屋に戻る時もあった。実際、ホームにカップルがたくさんいたのを知っていたのです。

 私の近くの席に座ったある女性は、おそらく男性と別れた直後なのでしょう。静岡駅ぐらいまで泣き続けていました。私はC席にいて、その女性はA席。一つ離れているから、私が泣かせたようには見えないでよかったと思った記憶もあり(笑)、その光景はよく覚えていました。キャンペーン案には文句もなく、すぐにそれでいこうと言いましたね。

 JR東海内でこのキャンペーンを担当したのがS君という若者でした。彼はちょうどその頃、東京と広島の間で遠距離恋愛をしていたから、説明に来ると、すごいなと思うほど真に迫っていてね(笑)。同期に同じ名字が他にもいたので、区別をつけるため、彼は社内で「シンデレラのS」と呼ばれていました(笑)。それほどこの企画に没入してくれた。

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