しかも、関係者によれば、キタサンブラックは何千万、何億円とするような高価な馬でなく、「数百万円程度」で買い付けた“並”の馬だという。まさに大出世だったのだ。朝日新聞のベテラン競馬担当・有吉正徳記者は、こう話す。

お金に物を言わせたのでなく、純粋に惚れた馬が勝った。競馬ファンもそこに共感できたのでしょう」

 元大リーガーの佐々木主浩、建築家の小林祥晃らG1馬を所有する有名人は少なくない。歌手では、前川清が愛馬コイウタで2007年にG1を制している。

「芸能人の馬主は多くはありませんが、勝つと目立ちますね」(JRA広報)

 その言葉どおり、キタサンブラックの注目度は急上昇。ファン投票で優先出走権を得る年末の有馬記念に出る可能性も出てきた。一昨年、NHKの紅白を“卒業”したサブちゃんだが、年末は馬の祭典で再び「まつり」が聞けるかも?

(本誌・藤村かおり、牧野めぐみ、松岡かすみ、西岡千史/今西憲之、黒田朔、桐島瞬)

週刊朝日 2015年11月13日号