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 フード&ワインジャーナリストの鹿取(かとり)みゆきさんが、日本ワインを紹介する。今回は山梨県甲州市の「シャトージュン セミヨン 2014(白)」。

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 ワインは原料のブドウの品種によって、味わいや香りが大きく左右される。人気の品種は時代によっても移り変わってきた。たとえば、セミヨン種。世界最高の甘口ワイン、シャトー・ディケムの原料だが、日本では最近、広く名前の知られたシャルドネ種に押され気味だ。

 しかし、山梨県甲州市勝沼町のワイナリー、シャトージュンはセミヨンによるワイン造りに今も力を注いでいる。醸造を担う仁林欣也さんは、こう話す。

「セミヨンのワインはおいしいのに、このままでは廃れてしまう。農家さんも醸造家たちも惜しんでいます。山梨県は日本で本格的にセミヨンの栽培・醸造を始めた土地とも言われており、大切にしていきたいのです」

 仁林さんの「シャトージュン セミヨン2014」は、大規模なタンクではなく、小さな樽に入れ、じっくり熟成させた。まったりと厚みがある味への評価は高く、セミヨンに再び注目が集まっている。

(監修・文/鹿取みゆき)

週刊朝日 2015年8月28日号