田原総一朗「『中国の脅威』で安保国会突破を図る安倍戦略の危うさ」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「『中国の脅威』で安保国会突破を図る安倍戦略の危うさ」

連載「ギロン堂」

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「戦争は否」の叫びが希薄になるのではないか…

「戦争は否」の叫びが希薄になるのではないか…

 安保法制を押し進める安倍首相だが、ジャーナリストの田原総一朗氏は「中国の脅威」を理由にするのは危険だとこういう。

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 8月6日の広島での平和記念式典に参加して、何人もの原爆被爆者たちと話をした。誰もが、被爆者たちが年を取り、どんどん少なくなっていることに強い不安を抱いていた。

 被爆者たちは、原爆による悲惨な結果を生じさせた戦争には絶対に反対であり、また残酷な核爆弾を投じたアメリカの責任を強く追及している。だが、被爆者が少なくなることで、原爆の悲惨さ、そして原爆投下に至った戦争に、身をもって「否」と言える人間が少なくなり、「戦争は否」の叫びが希薄になるのではないか、と心配しているのである。被爆者だけではなく、広島市民の多くがそのことを危惧している。

 この日、安倍晋三首相は被爆者7団体の代表たちとの会議に出席した。そして、代表たちが「安保関連法案を実施に踏み切ると、日本は戦争に巻き込まれる恐れがある。だから、撤回すべきだ」と訴えると、「安保法制は国民の命と平和な暮らしを守るために、戦争を抑止する法制だ」と答えた。代表たちは、誰も納得していなかった。

 私は「抑止」という言葉に少なからぬ違和感を覚えた。なぜ、この時期に戦争を「抑止」する法案を提案しなくてはならなかったのか。戦後70年間、「抑止」のための法制がなかったにもかかわらず、日本が一度も戦争に巻き込まれなかったことは、どのようにとらえればよいのか。

 安倍内閣は、安保関連法案を閣議決定したのは、我が国を取り巻く国際情勢が大きく変わり、緊張度が高まっているためだと強調している。7月27日から参議院での審議が始まると、安倍首相は「中国の脅威」という表現を使いだした。衆議院の審議では一切口にしなかったにもかかわらずである。


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