いま取り組むべきは、人の流れの活性化でしょう。そもそも出生率が高いのに加え、僕らのような世代が退職後の住処として選ぶなどして移り住んでいますが、「観光」という観点ではまだまだ伸びしろがあります。

 今年の上半期、沖縄県の外国人観光客は66万人でした。このままいくと、単純計算ですが、年間130万人台に乗る(昨年は1年間で89万4千人)。沖縄の人口は142万人ですから、人口を超えることもあるかもしれません。人口より多い人が海外から来ることは特筆すべきことです。

 観光客の内訳(上半期)は台湾22万人、韓国14万人、中国11万人、香港8万人。対して、米国は7千人です。東アジアに依存しているのは明らか。数万円のパック旅行で来て、買い物をしてもらうだけで満足せずに、次のステージに進むときがきています。

 キーワードは「医療ツーリズム」ではないでしょうか。

 日本の先端的で高技術、かつコストの安い医療を受けてもらうのです。人間ドックも歯科診療も、日本は他国に比べて非常に充実していますから。観光客をハイエンドのリピーターにしていく試みです。

 沖縄が本当の意味で経済自立できるか。翁長知事の手腕に期待しています。

週刊朝日 2015年8月14日号