介護者が軽度認知障害に 「認・認介護」の厳しい現実

介護を考える

2015/07/21 07:00

 朝田医師に診断してもらった。MCIと言われた。よく覚えていないが、母親と同じレビー小体型認知症の初期症状だと思った。薬は母親と同じだった。

 佐々木さんは生ビールを飲みながらよく話した。それほど量は飲まないようにしているが、ときどき飲みすぎることもあるという。アルコール片手に仲間と話すのが大好きだそうだ。

 朝起きても頭に雲がかかる状態になることが佐々木さんは多かったという。思うような行動が取れず、言葉もすぐに出てこなかった。投薬と同時に認知力アップデイケアを受けることに。2013年4月から週に2回通った。

 母親がその年に亡くなった。佐々木さんの症状はすぐには改善しなかった。大学付属病院での認知力アップデイケアは非常に珍しかった。マスコミがたくさん取材に来たのを佐々木さんは覚えている。

 朝田医師のところには「実名で登場していただける当事者はいませんか」との要請が多かったという。とくにテレビ。映像が必要な場面での顔出しを求められた。佐々木さんは朝田医師を通して実名取材をOKした。妻子は賛成しなかったが、隠す必要はないと思ったという。最初に名前を明かしたのがNHKのニュースチームの番組上だった。

 ディレクターから質問項目が書かれた紙を渡されて質問に応じる。それほど難しいことではなかったはずだが、途中で頭が真っ白になった。質問されている内容がわからなくなったそうだ。何度もやり直した。緊張もあったのだろうが、やはり認知障害は治っていなかった。

 うまく編集されていて放送では佐々木さんはちゃんと答えている。放送を見て希望がわいた。都庁時代の仲間からの電話が相次いだ。佐々木さんは、この放送で自分が前向きになった気がしたと言った。デイケアの先輩である佐々木さんの気持ちがよくわかった。

「認知症治療を公表したことで、明るくなった」

 佐々木さんはぼくの気持ちの代弁者だ。

週刊朝日 2015年7月24日号より抜粋

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