※イメージ
※イメージ

 インターンシップに参加して優秀さを発揮した学生は、新卒採用の選考で有利になる――。経団連が唱える指針とは異なり、水面下でそう考えている企業は少なくないようだ。経団連を慮ってアエラムック教育編集部の独自アンケートには明記できない企業の「本音」が、ここにあるのだろう。

 大手保険会社の例を挙げる。この会社ではエントリーシートや面接など、内定に至るまでに「関門」がいくつもある。その各段階で、「下位の1割ぐらいは、だれを通過させるか迷ったらインターンシップに参加して『実力』がわかっている学生を優先的に選ぶ」(採用担当)と明言する。

 別の有名企業では、選考中の学生を「インターンシップ組」「リクルーター組」「その他」と三つに分けて管理するという。

 リクルーターとは、採用担当とは別に就活生と会う社員のこと。リクルーターに会えば、エントリーシートを提出し、会社説明会に参加して……という大多数の学生が通る経路とは関係なく選考が進むこともある。少なくともこの会社の場合、インターンシップに参加することは、リクルーター組と同じ「特別な選考」をされていると考えていいのかもしれない。

 そもそも、インターンシップに参加すること自体がアドバンテージにつながるとする企業もある。

 ある金融会社では、採用担当が多くの応募者の書類を読み込み、「この人に来てほしい」と思う学生を呼ぶ。しかも、実際に「来てほしい」と言って学生を口説くそうだ。かなり優遇しているといえよう。

 インターンシップ中の数日間は学生と採用担当がずっと行動をともにする。

「一緒に過ごした学生には、やっぱり当社に入ってほしい」(採用担当)

 採用担当と学生が、これほど親密な関係を築ける場はめったにないだろう。

 そこまで採用担当に好かれなくても、志望企業のインターンシップに参加するメリットは大きい。その会社の業務内容や職場の雰囲気などを肌感覚で知ったうえで新卒採用の選考に応募すれば、

「面接での発言の強さ、リアリティーが違います」(別の会社の採用担当)

 もっとも、インターンシップに呼ばれなくても悲観することはない。ある有名企業では応募倍率が100倍を超えるというが、

「逆に参加できない人が大多数。わが社としては不参加組から優秀な学生を探すほうがよっぽど大事です」

 インターンシップによって、企業は人材確保の手段がひとつ増えたと歓迎する面もあるようだ。

週刊朝日  2015年7月17日号