北原みのり「逮捕する必要、あるの?」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「逮捕する必要、あるの?」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回のテーマは、86歳の女性が親の年金を50年間不正受給し逮捕された事件について。

*  *  *
 86歳の女性が50年前に亡くなった両親の年金を受け取り続け、逮捕された。たまたまつけたニュース番組で、この「事件」はトップニュースとして報道され、女性の本名はもちろん、顔写真は出るわ、住んでいる家の映像は流れるわ、近所の人が「ふつーの人でしたね」「余裕のある生活をしてましたね」なんてコメントしてるわと、大騒ぎだった。

 見ながら、口の中が渇き、手のひらがべとべとしてくる。86歳の女性だよ? こんな高齢の女性を、あのような(経験者は語ります)環境に、どうしても置かねばならない力って、何? 本人は「身に覚えがない」と否定しているそうだけど、そもそも逮捕する必要が本当にあったの?

 私が去年の冬に逮捕された時、なぜこんな目にあうのか全くわからなかった。人の身体を拘束するほどの暴力はない。その国家暴力を発動するには、それなりの根拠と理由が必要で、「住所不定」「証拠隠滅のおそれ」「逃亡のおそれ」という条件がなければいけないと言われている。それでも私は自分の逮捕の根拠を、警察から受けることはなかった。後から弁護士の先生に、私が海外旅行を頻繁にしていることから「逃亡のおそれがある」という条件にあてはまっていたのではないかと、聞かされた。


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