4K超短焦点型は高価な職人技レンズが必要みたいだが、4Kでなければもっと価格も安くできるだろう。数年経てば中国の格安コピー商品が出回るであろう。つまり、ポスト・テレビといってもテレビと同じ構造になるだけである。顧客とのエンゲージメントができない限り、ずっとソニー製品を買う義理はない。

 iPhoneのユーザが、なぜiPhoneを使い続けるのかといえば、それはiTunesやApp StoreのIDがあってiCloudなどでアップル社とエンゲージメントを結んでいるからである。そのデバイスがソニー製でなければいけないという理由がなければ、もっと安い製品を人は求めるだろう。

 中国で今や飛ぶ鳥を落とす勢いの小米(シャオミ)はスマートフォンで覇権を握っている。中国では事実上GooglePlayへのアクセスが遮断されているため、中国のAndroidベースのスマートフォンメーカーは、独自のストアを用意せざるを得なかった。結果として、相当にカスタマイズしたAndroidスマホを普及させることに成功していて、その成果をひっさげて家電分野に進出しようとしている。

 それも徹底的に競合他社や先行者を研究して模倣している。本家よりも本家らしいプロダクトまでリリースできるようになっているのが現状だ。世界最大の中国市場に大量生産してプロダクトを送り込み一気に覇権を握るわけだ。今までのソニーの悠長なやり方で太刀打ちできるかといえば、ムリだろう。結果として惨敗するのではなかろうか。

 それはソニーに限らずカリスマ創業者を失ったアップルにも言えることかもしれない。

週刊朝日  2015年2月6日号