熱血介護士漫画「ヘルプマン!!」が移籍 続編の連載スタート 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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熱血介護士漫画「ヘルプマン!!」が移籍 続編の連載スタート

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週刊朝日

 介護をテーマに人間の本質に迫る漫画「ヘルプマン!!」が始まる。2003年7月から今秋まで講談社発行の漫画誌で掲載された前作「ヘルプマン!」の続編だ。作者くさか里樹さんに今後の意気込みを聞いた。

*  *  *
――前作は11年5月に「日本漫画家協会賞大賞」を受賞した。約11年間で単行本全27巻を世に送り出し、累計105万部を突破。本誌の「ヘルプマン!!」は前作と同様、熱血介護士の恩田百太郎(おんだももたろう)が主人公だ。高校に4年間通った後、介護士になったのは、たまたま徘徊中の認知症の男性を特別養護老人ホームに送り届けたから。男性がホームの職員に手足を拘束されるのを目の当たりにして憤り、「何とかしたい!」と正義感で介護の世界に飛び込んでいく。

 百太郎はいつも一生懸命なんだけど、すぐ他人に迷惑をかけてしまいます。でも憎めないやつ。常識にとらわれない奇抜なアイデアで、次々と介護現場の難題を解決していきます。

 人物像が固まったのは前作の連載開始にあたり、デイサービスセンターを取材したときです。お風呂に入るのを嫌がる認知症の女性に、センターの職員が関係のない話をして気をそらしつつ、背後からこっそりシャンプーを頭にかけて泡立たせた。そしたら女性は素直に服を脱ぎ、自らお風呂へ。気持ちが良かった記憶がよみがえったんでしょう。このとき、「介護ってこんなに創造的な仕事なんだ!」と驚きました。だから百太郎も自由な発想を持つキャラクターとして描こうと決めたんです。

――前作の連載が始まったのは介護保険制度施行から3年後。当時、漫画で介護をテーマに据えた作品は非常に珍しかった。増えゆく高齢者を社会全体でケアする仕組みができたばかりで、制度の不備や労働環境の厳しさなど問題点を指摘する声が相次いでいた。

 私は「介護」という言葉を見聞きするようになってから、ずっと興味を持っていました。でも報道などで介護業界のネガティブな側面ばかりが強調されることに違和感もあった。介護を仕事にしながら壁にぶち当たって悩んでいる人たちに「もっと自分をすばらしいと思ってほしい」と伝えたかった。そんなときに担当編集者から「次は介護の漫画を描きませんか?」と促され、即、快諾しました。

――これまで「介護虐待」「高齢者の性」「外国人介護士」「職員の待遇」「成年後見制度」「新サービスの起業」などを取り上げた。東日本大震災も取材し、避難所での高齢者のケアを描く。

 11年4月末に宮城県石巻市の避難所を訪れました。そこで、高齢の女性がつらそうにしている原因を介護職の方が探し当てた現場に立ち会い、心を動かされました。女性は大便を我慢していたのですが、人目を気にして言いだせなかった。介護職の方が腹部マッサージをしてあげることで、ちょっとずつ出るようになったんです。介護職のすばらしさは判断力だと改めて実感しました。現場は多様で、角度によって見える世界がまったく異なってくるんです。だから取材したい気持ちは尽きません。

――一方、介護事業所の半数以上が人手不足を感じているというデータがある。現場は人材難だ。

 離職する人は仕事に限界を感じて自己否定してしまうのかもしれない。そもそもストレスの多い大変な職場で、介護保険制度改正のたびに苦労を押し付けられてきたと感じます。

 でも現場がどんどん進化しているのも事実。百太郎を超えるアイデアマンが大勢活躍しています。だからこそ介護が創造的な仕事であることを、多くの方々に知っていただきたい。前向きな情報を発信して、介護職の不安を少しでも取り除ければと思うんです。

 前作の連載を始めたころはちょっとだけ時代を先取りし、「こうなるかも」といった“匂い”を描いていました。でも今は現実が漫画を追い越している。たとえば認知症対策として介護・医療・地域などが連携を取る「オレンジプラン」を国が政策として進める時代になりました。正直、それだけで地域を動かすことは難しいかもしれないけれど、時代の流れが変わりつつある例の一つだとは思います。

 私はずっと同じテーマを描いてきました。それは「名もなき普通の人間たちの頑張る姿がどれだけすばらしいか」ということ。これからも変わらずに描き続けたい。厳しいご意見も含め、率直なご感想をいただければ嬉しいです。

週刊朝日  2014年12月26日号


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