東京地裁で8月28日、開かれた初公判で起訴事実を認めたASKA(本名・宮崎重明)被告(56)。入院治療中のASKA被告と一時期、一緒に千葉県のある精神医療センターへ自主入院をしていた作家・翻訳家の石丸元章氏を直撃。知られざる肉声をリポートする──。

「ASKAさんは作業療法中に詩を書いており、『自分に課せられた役目なんだ』と言って、熱心に取り組まれていました。ただ、書いていたのは歌詞ではなかったようです。普段、歌っているところは見せなかったですね。偶然、一度だけ鼻歌を聴く機会があったのですが、そのときはつい、みんなで『ありがとうございます』と言ってしまいました」(石丸氏)

 同時期に入院していた患者には、タレントの酒井法子さんの元夫、高相祐一氏、7月に薬事法違反容疑で逮捕された横山幸一・前神奈川県議もいたという。

「高相さんも自分と同じ危険ドラッグでの入院でした。ドラッグに関して自由で冗談めかした発言をたくさんしてくる人だったので、人気者でしたね。横山さんはサッカーやキャッチボールをやったりと気さくな人でした。不謹慎に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ずっと病棟で過ごしていると、気を抜く瞬間が必要なんです。ASKAさんも冗談に楽しそうに応じていました」(同)

 ASKA被告ら有名人が同時期に入院していたことで、日付の入ったサインを集める患者も複数人、現れたという。

 治療のメソッドは「条件反射抑制療法」と呼ばれるもの。薬物にかぎらず、盗癖やギャンブルなどのあらゆる「依存」の根本にアプローチをするのだとか。決して厳しく患者を縛り付けないのは、このメソッドがしっかりしているからだ。

「この精神医療センターが研究している世界最先端の治療法です。簡潔に言うと、脳の深い部分で悪いことを『やりたい』と感じてしまう条件反射を抑えるためのテクニックです。現在、この治療を受けるために全国から重度の患者さんが集まってきています。とても有効なメソッドなので、ASKAさんも絶対に薬物をやめられると思います」(同)

 全12週間のプログラムを終えた石丸氏は現在、退院している。その後のASKA被告をよく知る関係者が語る。

「院内で毎日、朝早く起きて、熱心にウオーキングし、夜も決まった時間に寝ているそうです。運動をする時間には、『体力がないと歌うこともできないね』と言って、積極的にみんなの輪に入っているそうです」

 同関係者によれば、薬物の怖さを勉強する時間も設けられ、ASKA被告は真剣に耳を傾けているという。

「『捕まらなかったら人生が終わっていたかもしれない』と自問自答して、反省の日々を過ごしているそうです。今後については白紙のようですが、『いつかCHAGEに謝罪する機会を作ってもらいたい』と言っていました。初公判が終わった後、『緊張してうまく話せなかった』とASKAは周囲に話をしたようです」(前出の関係者)

(本誌・福田雄一/今西憲之)

週刊朝日  2014年9月12日号より抜粋