同棲や結婚が“世界を理解する”基礎になる? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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同棲や結婚が“世界を理解する”基礎になる?

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三浦朱門さん(右)、曾野綾子さん(左)夫妻(撮影/写真部・植田真紗美)

三浦朱門さん(右)、曾野綾子さん(左)夫妻(撮影/写真部・植田真紗美)

 日本藝術院の院長を務める三浦朱門さんと、曾野綾子さんはご存知の通り、作家同士の夫婦。出会いは60年以上前にさかのぼる。同人誌の仲間として知り合い、三浦さんが日本大学藝術学部の助教授になった翌年の1953年、まだ聖心女子大の大学生だった曾野さんと結婚する。今年、結婚してから61年を迎えた。

夫「ゆっくりケンカしている暇もないほど、忙しかったと思います」

妻「いい意味で『家庭内別居』してきたようなものですから(笑)」

夫「お互い、自分のペースで仕事をしてきた。仕事場と寝室は1階と2階、それぞれ別々。彼女が応接間でお客さんと会っていれば、もちろん挨拶はするけれど、僕には誰だかわからない。だいたいは編集者なわけだけど、打ち合わせが終わって彼女が編集者と一緒に取材で出かけたりした時に、『曾野先生はいらっしゃいますか』と電話がかかってきて、『さっき、若い男と出ていきましたよ』と答えたこともあります(笑)」

妻「それで、誰からの電話だったか、覚えていないんです。ひどいでしょう」

夫「だって、知らないよ、人の仕事のことなんだから。必要があれば、また電話はかかってきます」

妻「そういう意味で、わが家は一般的な家とは違って、三浦と私のふたつの事業所が、この家のなかで共存してきたんです。秘書も雇っていますし、家というよりも、会社ですね。食事も、秘書含めてみんなで一緒に取りますし、家の食卓というよりも、『社員食堂』」

夫「本当にお互いのことは干渉せず、60年以上も一緒に暮らしてきました」

妻「家庭を円満にする秘訣があるとすれば、夫婦、それぞれが『自立』していることがいいようです」

夫「精神的にも、経済的な意味でもね。彼女は僕よりもお金を稼いできたけれど、僕としては『それがどうした?』という感じだった(笑)。それに、お互い別々に外国に仕事で行く機会があって、夫婦でありながら自分の時間を持てたのも良かったかもしれない」

妻「私がこれまで訪れた国は119カ国になります。アフリカでは本当にいろいろなことを学びました。外国と比べると、日本は天国に近い存在。日本の政治家がよく、『安心して暮らせる社会』と言っているのは嘘だけれど、これだけ安全で、食べ物に困らない社会は世界を見渡しても存在しませんよ」

夫「彼女は実際にアフリカに足を運ばないと現実はわからないって言うんだな。私は本を読んで、ヨーロッパ以外で近代化に成功したのは日本だけだと考えているから、現場を見なくてもわかると思うんだけど(笑)」

妻「私には書物だけじゃわからないことが、この世の中にたくさんあるのよ」

夫「結局、結婚生活って、異文化を知るための『基礎』なんだ。同棲したり、結婚したりして、他の人間を知ることが世界を理解することにつながっていくから」

週刊朝日  2014年8月22日号より抜粋


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