コラムニスト北原みのりさんは、世界中で取り上げられているろくでなし子さん逮捕の報道から日本がどう思われているかが分かるという。

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 自分のヴァギナを3Dスキャンし、データを頒布したとして逮捕された(現在釈放されているが、無罪が確定したわけではない)芸術家、ろくでなし子さんのニュースが、各国で報道されている。海外の報道を見ていると、日本がどう思われてるのか、よく分かる。

「日本に猥褻の規制なんて、あったんですね~!」と笑わせているアメリカのコメディショーがあった。

 この手の「驚かれ方」は、今回すごく目立った。セックス産業にいるとよく言われることだけど、「日本は世界で一番のポルノカントリー」ってことになっている。他国を圧倒するほどにポルノに寛容な国だと思われてるのだ。

 そりゃそうだろう。電車の中吊りに女性の水着姿の写真や、SEXの文字が躍る国なんて、日本くらいだ。風俗産業は多岐にわたっていて、接待で風俗を使う会社もある国。どんな高級ホテルでも、簡単にポルノが映る国。児童ポルノは禁止されてはいるけれど、美少女アニメポルノは、ゲームでも漫画でもいくらでも楽しめるし。「日本って、ポルノに寛容じゃないの~?」というのは、今回ろくでなし子さんが世界に知らしめたビッグニュースだったのかも。

「日本には男根を担いで練り歩くお祭りがあるというのに?」と笑うような報道も、たくさんあった。

 でも、これにはちょっと異を唱えたい。だって、日本には女性器を奉るお祭りもあるから。

 私の祖父の実家は神社で、ご神体は男根だった(女性器でないのが残念だが、私がバイブ屋になったのもDNA的宿命なのかも)。近くには女性器を奉る神社があり、年に一度、男根と女性器を巡り合わせる祭りがあったのだとか。大正時代の話だ。今はない祭りだけど、女性器と男根をワッショイワッショイと担ぎ奉るおおらかさに比べ、美少女アニメとか、「3Dで逮捕」とか、ニッポン、ずいぶんとつまんねーセックス観の国になったものよね。

「日本の祭り、おかしい」と「外国目線」で笑われると、は? といらつくけど、「猥褻の規制があったんですか?」と笑われるのは、仕方ないと思う。

週刊朝日  2014年8月15日号